宛先を書かず、紙飛行機で空に向かって飛ばしたら、想いを寄せる人の場所に勝手に手紙が届くという魔法があるなら、

俺はすぐに書くのに…


百合に連絡など出来ない。

百合は今自由に飛びたっているのだから。


─…憂鬱な始業式が始まろうとしていた。


このポカポカの陽気のせいで俺に睡魔が襲う。


だが、誰かが俺の肩を叩いたせいで、眠気が一気に飛んだ。


『…誰だよ?』


俺は後ろを見た。

そこにはピースサインをした亮がいた。


『りっ…亮?!何で!?』

『何でって?だって俺ここのクラスだし?
遅刻してきてさ!』


ヒソヒソと喋る亮。

亮とまた同じクラス?


俺は嬉しくて、少し大きめな声で


『まじ?!』


と言ってしまった。


『なぁ光輝、可愛い後輩いた?』


『ばか。そんなの興味ねぇし、必要ねぇよ』


タクミ、疾風、亮がいれば安心だ。


最高の二年生の幕開け。