「ねぇ。恭汰は秋本さんが死神だとわかってどうして逃げなかったの?」 「ん。なんでだろーな。俺は別に怖いと思わなかった。」 「へぇ~。変な人。」 「お前だってそうだろ。馬鹿。」 少しむくれたヒナを横目に俺は思い出す。 秋本さんが死神だとわかったあの日の事。 秋本さんの家に居候してからあまり日が経っていなかった頃。 と言っても、雪は溶け、桜が咲き始めた頃だった。