「あー。そうか。じゃ、仕方ねぇな。」 すまなさそうな顔をするわけでなく男はすっくと立ち上がる。 「金。」 「は?」 「金貸して。」 「なんで?」 「俺、腹へって動けねぇし。飯代くれ。」 「馬鹿じゃねぇの?」 そりゃそうか。 駄目元で聞いてみたけどかなりショック。 俺はこれからどうしようか。 「ほらよ。」 「・・え?」 目の前に差し出される手。 「行くぞ。」 「何処に?施設にでも連れていくのか?」 そうなるんだったら振り払って逃げてやる。 「は?俺の家に決まってんだろ?」