『元気でな。陽菜乃。』 幼いときに聞いた別れ際の言葉。 とても寂しげな顔をした男の子が立っていて優しい笑顔で私を包む。 だけどもその笑顔もあまりにもぼやけていて思い出せない。 『お兄ちゃん?』 幼い私はわけもわからずあの両親に連れて行かれる。 『ヒナ・・ヒナ・・・ヒナぁー!!!』 男の子が・・お兄ちゃんが私の名前を呼ぶ。 一緒に行くことはできない。 あれっきりお兄ちゃんとは会わない。 今どこで何をしているのかもわからない。 「お兄ちゃん・・・。」 そのまま私は深い眠りに落ちていった。