「行けよ。」 「わかってる。」 家に帰る途中の道。 足が重くてたまらない。 「絶対に行けよ。」 「うん。」 少し震える手をしっかりと握って歩く。 見えてきた。 あの忌々しい家が。 あの青い屋根が私の家、だった場所。 今から別れを告げるとこ、出て行く場所。 なんてことはない、「出て行く、心配しないで。」だけ告げればいい。 あとは逃げよう。 「逃げるなよ。」 私の心を読んだのか恭汰が私を見て言う。 「逃げ・・ないし。」 わかったよ。 ちゃんと話す。