「ったく、はぐれやがって。」
「・・・ごめん。」
「お前が泣いてないかと焦っただろ。」
「泣かないよ。」
「泣いてたろ、俺が家に帰ったとき。」
「あれは・・・。」
「泣き虫ヒーナ!」
「うるっさい!!」
ぎゅっと恭汰の手を掴んで離さなかった。
独りになりたくなかった。
恭汰がそこにいるだけで安心した。
「はぐれんなよ。面倒くさいことになる。」
「わかってるよ。恭汰こそはぐれないでよ。」
「俺を馬鹿にしてるのか?」
軽く私を睨んで恭汰は前を向く。
睨んだわりには優しく繋がれた手。
暖かい。
離したくなかった。


