…板張りの床が冷たい。

足袋を通して伝わって来る冷たさは暑い秋には丁度良かった。

矢を番える。弓を構える。基本動作一つ一つが、美しい射形を形作る。

弓道の団体戦は、特にこの時期の新人戦など、主に三人で団体を組む。立に入る順番として、一番が大前、二番が中、三番が大後(おち)である。それに補欠の一人を加えた四人が、団体戦のメンバーとしてゼッケンを付ける。

これが春の大会になると、三人団体から五人団体になる。大前、前、中、後、大後。

今自分が、十五人居る弓道部の男子の中で、たった三人のうちの一人になれたというのを誇ろうと思う。大前の的を見据える。正鵠を射抜くように、真っ直ぐに。
構えた弓を高く上げる。手の内を崩さないようにはしているものの、緊張か、手汗が酷く滑りにくい。ギリギリと巻き込むように、人差し指が的を指した。