「うん・・・」


気が付いたら、凄く寝心地の良いベッドの上でした。


「・・・此処何処?」


寝呆けた頭をフル回転させる。私の記憶は車の中から途絶えている。


「もしかして・・・車の中で寝ちゃった!?」


ベッドから起きると自分の服も変わっていた。


(パジャマだ・・・でも私のでは無い・・・)


一体どういう事だろうか。序でに見回すと此処は私のマンションでも無い。見慣れた部屋だった。


「ルリの家じゃん」

(あ、私の家でも有るんだった)


車の中で寝てしまった私を運んでくれたんだろう。申し訳無い・・・。


唸っていたら、ドアを軽く叩かれた。


「失礼します沙夜様」

「あ、牧野さんおはようございます」

「沙夜様、おはようございます。早起きですね。昨日はよく寝られましたか?」


牧野さんは着替えてもう準備をされていたらしい。私を起こしに来てくれた様だ。


「はい。もうぐっすり。私寝ちゃったんですね」

「いろいろあったので、仕方ないですよ。お召し物はこちらにございます。瑠璃様のものしかご用意出来ないのですが・・・」

「いえいえ、良いんですよ。私ルリの服着てみかったんです。可愛いのいっぱい持っていますよね」


牧野さんが出ていってから、私はルリの服を着た。


白色のワンピースで裾に桜の花びらが刺繍されている。カーディガンは桃色で、桜の花びらの模様が付いていた。


急いで下に降りるとお父さんは新聞を、お母さんはキッチンに立っていた。


「おはよう!!お父さん、お母さん」

「沙夜ちゃんおはよう。まぁこのワンピース、瑠璃ちゃんのね。似合っているわ」


お母さんが顔をあげて私を見てくれる。お父さんも穏やかに私を見てくれた。


「お父さん、私昨日車の中で寝ちゃったのね」

「あぁ。昨日は結構はしゃいでいたからね。仕方ないだろう。車の中で寝る事は悪い事でも無いさ」