「ッ沙夜ちゃん・・・」

「沙夜・・・」


ひとしきり泣いた後、私はルリを見つめた。
おばさんが私から離れる。


「黒月、大丈夫か?」


いつの間にか病室に来ていた浜田先生が、汗を拭きながら心配してくださった。


「ご心配おかけしました。大丈夫です。」


ニコリと笑ってみる。大丈夫。大丈夫と自分に言い聞かせる。


「おばさん、私夢だと思ったの。今日ね、2時ごろルリを見たの。でも夢じゃなかったんだ・・・ルリは私に会いに来てくれたんだと思う」

「沙夜ちゃん・・・瑠璃ちゃんはね、2時ごろに容態が悪化したのは・・・『サヤに会いに行かないと。』そう言った直後に悪化したのよ」


そうだった。私の不安と警鐘が強まったのもちょうどその頃・・・。


そしてルリが会いに来てくれたのも・・・。


私とルリは繋がっていたのだ。不思議な気持ちになった。


(まだ意識があるうちに伝えよう・・・)


私はルリの手をそっと掴んで指を絡める。ルリの穏やか顔を見ながら話す。


「ルリ、私の大切な親友。今まで頑張ってきて偉いよ。ルリの存在で私は沢山救われたよ。ルリの事、絶対に忘れない。いつまで経っても、私の1番の友達だよ」


郁人も反対側から、ルリを見つめながら話す。


「瑠璃。今まで辛かったよな。俺お前の分まで頑張るから。だから応援してくれよな」


郁人が走り寄ってルリに触れる。涙目は郁人には似合わないよ・・・。


「瑠璃。僕達の娘として生まれて来てくれてありがとう。君と過ごした日々はパパ達の娘として、誇りに思うよ」


「瑠璃ちゃん。今までよく頑張ったね・・・。ママらしいこと、殆ど出来なくてごめんね。ママは瑠璃ちゃんとの思い出があるから、幸せです。瑠璃ちゃんと過ごした日々はママ達の宝物です」