「あ・・・職員室、だった」


暑すぎる気温でフラフラになりながら何時もより少し遅れて学校に着いた。


下駄箱に来たときに、ふと昨日の事を思い出して教室へ行く方向とは逆の方向に足を向けた。


(優等生権利の没収とかだったらどうしよ・・・)


そう思いながら、職員室に向かう。職員室の扉から先生を探した。


(・・・浜田先生と話してるや)


担任の浜田先生と話してる最中の様だった。


どうしようか悩んだが、取り敢えず声をかけないことには意味が無い。


「失礼します」


郁人曰くハゲセンの元に行く。確か名前は、植田先生だった気がする。


「先生、おはようございます。黒月です」

「あぁ。黒月。おはよう」


ニコニコ笑う植田先生の顔に皺が出来て好印象を与える。


電話が鳴って浜田先生は電話の対応の為に、植田先生の傍を離れた。


「昨日は珍しかったな。まぁ人間失敗は幾らでもある。これからはちゃんと気を付けるように。今回は特別に大目にみよう」

「すみません。ありがとうございます。これからは気を付けます」


お咎め無しということにホッとして、丁寧に頭を下げた。


郁人が言うほど植田先生は厳しい先生でも無かった事にホッとした。


愛想笑いをして職員室を失礼しようとした時だった。


「なんですって!?」


浜田先生がいきなり大声を出した。


まわりにいた先生方も私も浜田先生を見るが、浜田先生は周りを気にする余裕も無いほど、焦っていた。


私の心臓がドクンと一際大きく鳴った。


「はい、はい。分かりました。直ぐに行きますので」


浜田先生は電話を切ると顔を真っ青にしていた。


そのまま鞄を掴んで職員室を出ようとした時に、私を見つけたようだった。急いで私の元に駆け付ける。


「黒月、おはよう。丁度良かった。お前、まだ教室行ってないな?」

「はい」

「野沢の容態が悪化しているらしい。俺と病院行くぞ。矢嶋先生後をお願いします」

「分かりました。先生くれぐれも・・・」

「はい。分かっています。黒月、大丈夫か?行くぞ!!」



職員室は一瞬にして騒然となった。