「お前、大丈夫かよ?」

「優、言わないで。私だって辛いんだから・・・」

「俺なんかどうなるか分かんないじゃん!!!!」

「郁人は大丈夫だろ」


10分休み。
郁人と優が私の所に来た。郁人は郁人で落ち込んでいるし、


私も今回ばかりはかなり落ち込んでいる。


なんせ特待生権限が没収されたら、授業料なんか私は払えない。


そんな事になったら、私は学校を去らなければならないではないか。


郁人と優のじゃれあいを横に見てながら、私の心はどんより曇っている。


(・・・考えても仕方ない、か。私も悪いし)


そう結論付けた。


「まぁ、なるようになるよ。その時はその時だね」

「俺とは違ってお前は死活問題だもんな・・・。悪かった」

「別に気にしてないよ。だから、大丈夫」


珍しく辛気臭い顔で私を見つめる郁人に、ちょっと嬉しさを感じる。


私の気分は、郁人のおかげで晴れ晴れとした。我ながら、現金だと思う。


「そか。沙夜も頑張れよ。あのハゲ滅茶苦茶厳しいし」

「は、ハゲって・・・・。ククッ」


郁人の言い方が可笑しくて、少しだけ笑えた。でも堪えられない程ではない。肩が震えるけども、これが精一杯だ。


「やっと、笑ったな」


郁人はそう言って、私の頭に手をのせてくれた。


「笑ってる方が沙夜らしいよ」


優もそう言って滅多に見せない笑みを浮かべてくれた。


少しだけその笑みがカッコいいと思ったのは、気のせいにしたい。