「おばさんが!?」


郁人が驚いて聞き返す。


「うん･･･そうだけど」

「ﾏｼﾞかよ･･･。あの人が･･･。想像出来ない」

「俺も･･･」


優も目を見開いていた。郁人は優の言葉に同意している。


この２人の反応は最もだと思う。私も最初聞いた時は飛び上がったのだから。


おばさんはおっとりしていて、何も無いところで盛大に転んだり、物を破壊する天才者だ。


そんなおばさんが料理をするのだから、驚くだろう。


実はおばさんの趣味は料理なのだ。ルリのお弁当はおばさんが作っているし、ご飯もお手製。


さらにデザートも作っている。その腕も見事なもので、凄く美味しい。


家政婦さんは、料理以外の雑用をしてもらっているらしい。


私はその事を２人に伝えると、２人は本当に驚いていた。


「人は見かけによらないよね」

「確かに。私も最初はかなり驚いたんだよ」

「今度おばさんの腕前を見たいわな!!」


感心する人と関心する人･･･。この２人の反応は見事に違った。


暫く話をしていたら、郁人はﾅﾙちゃん先生と後輩に呼び出しをされて、教室を出ていく。


私もｸﾗｽﾒｰﾄの女子に呼ばれた為に、優の側を離れて、女子達の元に近寄った。


「何々〜??」


愛想笑いを浮かべて、私はその輪の中に溶け込む。正直私は女子はあまり好きになれない変り者なんだ。


その後ろ姿を優がずっと見つめて居たことなんて、知る由も無かった。


正直つまらない世間話を数十分ほどした所で昼休みの終わりを告げるﾁｬｲﾑが鳴った。