私は知らなかった。この光景を見ている人が居たなんて・・・。


本当に知らなかった。


「カバン位自分で持つ」

「相変わらず堅いな。んなにフラフラしている奴にカバン持たせられねぇよ」

「・・・」


郁人の言葉に甘えて、私は郁人にカバンを持ってもらい、学校まで歩く事にした。


(郁人はの人気はムードメーカーだからだし、郁人の好意だもん。断るのも悪いし・・・)


何よりずっと傍にいたいと願う自分が居た。


「郁人」

「ん?何だ?怠いか?キツくなった?」


前を見つめていた郁人が、私の呼びかけに反応して、心配そうに私を見つめる。




オネガイ・・・そんな瞳で




ワタシを ミツメナイデ・・・。




「違う。・・・その・・・ありがとう」

「ん?あぁ!!気にすんな。瑠璃の親友見捨てる程ひどい奴か?俺は?」





ソンナコトナイ・・・。




「いいえ」





ワタシガシルアナタハ・・・




「私が知ってる貴方は―――」





ダレニデモヤサシイ




「誰にでも優しくしてるでしょ」

「そうなのか?よく分からないな」

「・・・そう。少なくとも私はそう思うよ」


それきり私達は黙って足だけを動かした。だけどその沈黙の時間は凄く心地よかった。




コノママジカンガトマレバイイノニ




私のもになってくれれば良いのに・・・。




ルリガジャマ―――




ルリが居なくなればいい――!?




(何を考えてるの・・・私!?)


私の思考に私が一番驚いた。ルリは大切な親友。居なくなったら、困る!!


私はこの考えを即打ち消した。心がズキンと悲鳴をあげたが、私は気付かないフリをした。