「良かったな。沙夜」

「お前も大変だったな。実は俺そうじゃないかなぁ〜って思ってたんだよな!!」


優と郁人の言葉は、かざりでも表面上の言葉でもなかった。


本当の気持ちなんだという事がよく伝わった。


「郁人・・・当てずっぽうじゃないの?」

「確かに郁人はそんな感じがするな」


優と郁人で遊ぶこの一時が久しぶりで、珍しく私も今日ははっちゃけていたと思う。




最初の方こそ皆は、私に対してよそよそしい態度を見せていたものの


午後になってきたらそんな事も感じなくなった。


「くろ・・・野沢さん、ここが分からないんだけれど・・・」

「わ、私も分からないんだけれど!?優教えて!!」


授業は思ったよりも凄く進んでいて、私は優の力を借りて遅れを取り戻している。


もう少し早く学校に行けば良かったと、少し・・・いやかなり後悔をする羽目になった。


私の優等生権限は、特別な事情による休暇の許可の為に、没収される事は無かったが


次の定期テストで順位が落ちていたら没収らしい。手厳しい・・・。


もう一つ、学校生活では変化があった。


「黒、野沢!!谷口が呼んでるぞ!!」

「谷口・・・?誰?」


優と郁人と話をしていたらクラスメートの男子が私に声をかけてきた。なんだか呼び出しらしい。


呼び出してきた相手は、私の知らない男子だった。


「また・・・か」

「まただな」

「谷口君って誰?」


そう・・・男子からの呼び出しが多くなったのだ。


それも・・・


「前に野沢姉を狙ってた一人」


優が本から目を離さずに答えてくれた。


そう。ルリ狙いだった男子からだ。


「断る!!」

「あいよ〜!!」


ルリの妹で顔もそっくりだから付き合って欲しいとかいうヤツだ。


私は毎回そういう手のものは断っている。それが最近は凄く多くなった。


そんな事があって少し変わった日常。人間というのは凄くて、いつの間にか馴染んでしまった。


そうして私の日常が続いていく。