騒がしかった教室が私の声で一瞬にして静まり返った。


見渡すと皆が驚きと困惑の顔で迎えてくれた。


「沙夜!!」

「沙夜!!」


だけど郁人と優は違った。驚きの表情で固まっていた2人だったけれども


すぐに私の名前を何時もの様に呼んでくれた。


「よッ!!優、今までのノート見せてね。郁人〜。大会どうだった?」


私も普段のように、2人と話すことが出来た。


優は馬鹿にしたような態度を、郁人は私に笑顔を向けてくれた。


「沙夜。来るのが遅い。優等生の権限没収じゃないかい?まぁ俺は優しいからな。ノート位見せてやるよ」


優は上から目線で私にそう言ってきた。でもその目は優しく、私を温かく迎えてくれた。


私はカバンを置いて自分の席に着いたら、郁人が身体を乗り出してきた。


「沙夜がもっと早く来てれば、俺の勇ましい姿が見れたんだぜ!?ざんねんだなぁ〜。勿論、優勝してきたさ!!」


郁人は思ったより、明るかった。


ルリの死で落ち込んでいると思ったが、そうでも無さそうだ。


私の大好きな微笑みを浮かべて私を見てくれている。


大会優勝したんだ・・・。


見に行く約束、見事に破っちゃったな・・・。


「優勝、おめでとう。見に行く約束したのに、見事に破っちゃったね。御免ね」


「良いって。また沙夜と話せるだけでも俺幸せだからさ。沙夜も大変だったな」


郁人は私の頬に触れながら話した。頬が熱くなるのが分かる。


こんなことをされる事が無かったから、免疫なんて無い。


「ッ!!だ、大丈夫。昨日やっと落ち着いて来たからさ。学校来たんだよ。念願の送り迎えが叶ったよ」