「つ、疲れた」


この1週間は凄く慌ただしかった。やっと落ち着いて来たので私は明日から学校に行くつもりだ。


私の部屋はルリの部屋の隣に作られた。客間二部屋分でルリの部屋と同じ位の広さ。


主に白と桃色で統一して、シンプルな部屋にした。


家具も全て新しく買い替えた。私前の様な物では無く、私好みの物を。


自分の部屋に愛着を持てるようになった。


リビングで家族揃って、談笑したりテレビを見たりする夜の時間が、私の1番のお気に入りの時間だ。


以前パパやママにそう話したら、パパは何時も7時に帰って来て家族で過ごす団らんの時間を増やしてくれた。


ママもこの団らんの時間はリビングで編み物や私との話に花を咲かせてくれるようになった。


パパ、ママと呼ぶことにも抵抗が無くなった。


「パパママ、私明日から学校行くね」

「もう少し休んでも良くないかしら?」

「授業の方が気になるし、単位もヤバくなりそうだから」

「まぁ、沙夜がそう思うなら、行かせてあげようじゃないか。行きは僕が送ろう」


パパは快く納得してくれた。ママは最初こそ不安げにしていたけれど、最終的には納得してくれた。


「無理しないでね。帰りと辛くなったら、電話してね。すぐに牧野さんと迎えに行くわ」

「うん」

「学校側にもちゃんと伝えてあるけど、心配だからね」


心配してくれる人が居ることは、本当に嬉しい。私はこの感覚を、初めて知った。


「じゃぁ今日はもう寝るね」

「お休み」

「お休みなさい」

「お休みなさいませ」

「うん・・・お休みなさい」


“おはよう”

“いただきます”

“ごちそうさま”

“行ってきます”

“いってらっしゃい”

“ただいま”

“お休みなさい”


挨拶を交わす日々が訪れるなんて、夢のようだった。でも現実だ。実際に私は家族を手に入れた。


私は部屋に戻るとケータイを開く。メールを確認して返信するものには返信して、電源を切って充電させる。


明日は久しぶりの学校だ。


「皆・・・元気かなぁ」

(早く会いたい)