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それは私達を産む前の話。


「野沢さん」

「はい」


エコー写真を見ていた九条先生はお母さんにこう言った。


「双子です」

「双子・・・!?私双子だなんて、育てる自信が無いわ!!無理よ!!!!」


九条先生が双子の赤ちゃんが居ると、言うとお母さんはパニックを起こしてしまったそうだ。


九条先生は何度かお母さんを説得したものの


お母さんは双子の話をすると、酷くパニック状態に陥ってしまったのだと言う。


「分かりました。とりあえず、産まなければ貴女は赤ん坊を殺した事になってしまう」


お母さんは産む事については異論無かったらしい。


予定を変更して、九条先生は帝王切開で赤ん坊を取り出す事にした。


取り出された赤ん坊はそっくりだった。


しかし1人は呼吸もしておらず、非常に危険な状態だったために、医療がもっと充実した病院に転送。


もう1人の赤ん坊は心臓に疾患を持っており、永くは生きられない身体だった。


お母さんは疾患を持った子即ちルリと共に退院するとサッサと病院を出ていってしまったという。


九条先生が他の病院に居た赤ん坊即ち私と帰って来るときには、お母さんは居なかったと言う。


私は1ヶ月の間病院で育てて居たが、私はその後先生達が私に話してくれた通り、施設に入れられたのだという。


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「じゃぁ・・・私の両親は――」

「正真正銘の貴女の両親です」


お母さんが泣き崩れた。お父さんも辛そうな顔をしている。


「お父さん、お母さん・・・」

「沙夜ちゃん・・・御免ね・・・御免ね。ママ・・・」

「・・・ママ、パパ。私怒ってないよ。ママだって大変だったもん。これからよろしくお願いします」


お母さんは私に抱き付いて泣いてくれた。お父さんも抱き締めてくれた。




ルリ・・・ッ




私達姉妹だったんだよ。



後ママ・・・



“私を産んでくれてありがとう”