そんな様子を聞きつけて、他の駅員も集まってきた。
私も、
「とりあえず、駅事務室でお話を・・・」
なんて、腕をつかまれ連行されかけて、


逃げた。


手荷物が、走るたびふくらはぎに何度もあたり、

膝の後ろにも当たり、よろめき、昔懐かしの『ひざかっくん』を思い出させた。

息が上がって、しゃがみこむ。

別に、誰も追ってきてなど、いなかった。
私は、何から逃げたかったんだろう。

いや。

追われたかったのかも知れない。