話したいことは、山ほどある。

全部、伝えることができたら、私達もう一度また、前みたいに…


最後の一段を昇りきった時には、私は無意識に笑顔を作っていた。

そんな私を不気味そうに、暗がりの中でベンチに仲良く佇む人影が一斉にこちらを見た。


私は俯き、腕時計に目をやるふりをして、なるべくカップルから離れた場所を探して腰掛けた。