赤島家の家族は、気持ちの良い人達だった。
薫さんの両親は僕の来訪を歓迎してくれ、近所に住む薫さんの兄夫婦も、酒を持って訪れてくれた。
庭を誉めると、薫さんの父は酒を注いでくる。
気の良い家族。
決して貴志君の事を口には出さない。
だが、抱えている悲しみは皆同じだと感じた。
『誰も俺を責めない…それも辛い……いっそ、立ち直れないくらいに責め立ててくれた方が楽だ……』
貴志君の葬儀の時、泣きながら呟いた先輩の言葉がふいと浮かんだ。
優しい家族だからこそ、悲しみを閉じ込めてしまうのだろう。
吐き出せないままだと、膨らんでいくばかりだと言うのに。
せめて、皆が貴志君の思い出を語れる様に導いてやりたい。
見えない涙は、確実に溢れ続けているのだ。
降り続く雨の様に……。
多過ぎる雨は、恵みにはならない。
むしろ植物を枯らしてしまう。
それは、人間も同じだ。
生きる者も、逝った者も、全て……。
だからこそ、僕はここに来たのだ。
心を枯らさない為に。
雨を止ませる為に。
それが、糸を繋ぐ僕の役目だ。
薫さんの両親は僕の来訪を歓迎してくれ、近所に住む薫さんの兄夫婦も、酒を持って訪れてくれた。
庭を誉めると、薫さんの父は酒を注いでくる。
気の良い家族。
決して貴志君の事を口には出さない。
だが、抱えている悲しみは皆同じだと感じた。
『誰も俺を責めない…それも辛い……いっそ、立ち直れないくらいに責め立ててくれた方が楽だ……』
貴志君の葬儀の時、泣きながら呟いた先輩の言葉がふいと浮かんだ。
優しい家族だからこそ、悲しみを閉じ込めてしまうのだろう。
吐き出せないままだと、膨らんでいくばかりだと言うのに。
せめて、皆が貴志君の思い出を語れる様に導いてやりたい。
見えない涙は、確実に溢れ続けているのだ。
降り続く雨の様に……。
多過ぎる雨は、恵みにはならない。
むしろ植物を枯らしてしまう。
それは、人間も同じだ。
生きる者も、逝った者も、全て……。
だからこそ、僕はここに来たのだ。
心を枯らさない為に。
雨を止ませる為に。
それが、糸を繋ぐ僕の役目だ。