ラブ☆ヴォイス

 バタンとあっくんの部屋のドアが閉じられた。なんだかあっくんは不機嫌そうだ。

「なんなんだあいつ…。初対面の奴にあんなに敵意剥き出しにされたのも久しぶりだし、なんで普通の男が俺のこと知ってんだよ?声優オタクかあいつも!」
「光は声優オタクじゃないよ。あたしの幼馴染だから…あっくんのことを知ってるだけ。」
「幼馴染?」
「そう。幼馴染。」
「ただの幼馴染か?」
「へ?」
「あー…間違った。お前に訊いた俺がバカだった。」
「なっ…それどういう…。」
「あいつも可哀想な奴だな。」
「え?」
「いいからてめぇはメシ作れ!腹減ってるっつってんだろ?」
「うわああはいっ!」

 唯は慌ててスーパーの袋から食材を取り出す。使わないものは冷蔵庫に、使うものはまな板の方に置く。
 あっくんはというと、ソファーで新聞を読んでいる。ひとまず唯はご飯作りに集中した。集中しすぎたため、あっくんの独り言なんて唯の耳に届くはずもなかった。





「…鈍感な奴好きになると苦労すんな、幼馴染くん。」