ラブ☆ヴォイス

「ただの隣人。俺がたまたまこいつの住むマンションの隣に越してきて、で引越し当日に身バレしただけ。
どう?安心したか?」
「…バカにしてんのか?」
「してねぇよ。初対面の人間バカにするようなロクでもねぇ人間じゃねぇし。つーかもういい?」
「何がだよ。」
「俺、すっげー腹減ってんの。今すぐメシ食いたいわけ。これ、スーパーの袋。つまりこれからメシ。分かってくれる?」
「…なんで唯が一緒なんだよ。」
「こいつがメシ作ってくれるから。答えにそれ以外の何があるわけ?」
「唯!」
「これ以上、なんでとかそういう類の質問はなしにしようぜ。だってお前、踏み込めるような立場じゃねーじゃん。どう見たって家族じゃない、んで彼氏でもない。そんな不安定な立場でこれ以上何が言える?」

 あっくんの声が鋭く、冷たい。しかし正論な気がする。

「まずは口出しできる『立場』を手に入れることをオススメするよ。残念ながら、君はその立場にいない。今は、な。…行くぞチビ。超腹減った。」
「えっ…はっ…はいっ!」

 相談しようと思ってた原因の人とあっくんが会うのは、想定外のことだった。とにかく唯は必死にあっくんの背中を追い掛けた。