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 ようやく静かになった自分の部屋。ということは寝たということだ。うるさかった元凶そのものが。静かな部屋は明博が最も愛するものといっても過言ではないくらいなのに、唯のせいで夜から散々だった。唯はいるだけでうるさい。それは達也もだけれど。

「…布団ちゃんと掛けてんだろうなあのバカは…。」

 唯が風邪をひこうがひくまいが明博には全く関係ない。むしろ風邪をひいてくれた方がいい。自分の前をうろちょろしなくなるならばその方が。だから別に今だって唯を心配してるわけじゃない。自分の布団が床に落ちるという展開を防ぐために見に行くんだ。俺はマメに掃除をする方ではないから床の綺麗さには自信ないしなという理由までつけて。

 部屋のドアを開ける。すると、ただ小さく寝息が聞こえる。…布団はちゃんと掛けてるな。よし。そこで引き返そうと思った、矢先の出来事だった。
 ブーブーとポケットの携帯が震える。メール1件。…なんだか嫌な予感がする。