ラブ☆ヴォイス

「っ…気持ち悪いって!ひどっ!」
「気持ち悪いもんに気持ち悪いっつって何が悪いんだ?」
「だって達也さんと約束したし、あっくんの方が年上だからホントは敬語…。」
「俺がいつお前に敬語使えとか頼んだんだよ?つーか出会ったその日からお前、敬語なんかじゃなかっただろ。今更変えんな。ヘンだから。」
「…またヘンとか言う…。」

 確かに上手く敬語で話せていなかったことは認めるけれど、気持ち悪いだとかヘンとか言われると少しはへこむ。というか少しじゃない。かなりへこむ。
 顔が自然と俯く。こんな顔を晒したら、あっくんだって困る。それに別に泣きたいわけではない。それなのに顔は自分の意志に反して歪む。

「…悪い。」
「え?」
「傷付けたいわけじゃない。」
「な…なに…いきなり…。」
「お前が泣きそうな顔してるから…一応フォロー。」

 ぶっきらぼうに、不貞腐れたように、それでいて大好きな声でそう言われれば、唯はもう単純に機嫌を直すしかない。

「…元気出た。あっくんの素敵ボイスのおかげ。」
「単純。」

 あっくんがふっと小さく笑った。