ラブ☆ヴォイス

 ゆるい服に着替えて、家を出る。母親には何とかばれずに済んだ。恐る恐る、あっくんの家のチャイムを押そうとした瞬間。
ガチャン。

「え…?」
「そろそろ来るかって思ってたら来たし。」
「あ…あっくん…。」

 あまりのタイミングの良さに少しだけ嬉しくなる。あっくんと自分の相性がピッタリなような気がして。
そう思うと顔が少しだけ緩んでしまう。

「…んだよ。」
「え?」
「薄気味悪ぃ。」
「は?」
「お前の顔、気持ち悪いっつってんだよ。」
「はぁー?」
「ニヤニヤすんなチビ。」
「ニヤニヤなんかしてないもん!」
「いいから入れ。ばれんぞ。」
「…お…お邪魔します。」

 緊張がまた戻って来て、唯の声は小さく震えた。