ラブ☆ヴォイス

「とりあえず、一旦家帰れ。適当に言い訳しろ。友達んちに夜中行ったとか。」
「…わ…分かった…。」

 いつの間にか敬語が取れてしまったけれど、今はそんなことを気にしてなんかいられなかった。流した涙と二日酔いで頭は痛いし、きっと顔も酷い。

「で、サボったこと、親にバレたくねぇんだろ?」
「え…?」
「結局はそこだろーが。違うのか?」
「えっと…違わない…けど…。」
「とにかくちょっと軽めの服に着替えて俺んち来い。」
「えぇ!?」
「大学に行ったフリして俺んちで休めっつってんの。今日俺、オフだから家にいるし。」
「え…でもっ…せっかくのお休み…。」
「別に休みでどっか行くような趣味もねぇしな。いいから着替えて来い。吐くなよ。」
「…ホントに…迷惑じゃない…の?」

 気になるのはそこだった。考えてみればお世話になり過ぎている。これ以上迷惑をかけて嫌いになられたくはない。

「いーから行って来い。くれぐれも男の家行ってましたとか言うなよな。」
「…はぁい。」

 迷惑だとは言われていないことに、…甘えることにした。あっくんに家まで送ってもらって(といってもほんの7歩くらい)一度別れる。母親には華のところに行ったということにして誤魔化した。

「…ったく俺は何やってんだよ。バーカ。」

 そんな明博の呟きなんて、もちろん唯には聞こえなかった。