ラブ☆ヴォイス

　本命ということは、達也には好きな人がいるということになる。

「なーに残念そうな顔してんだよ。」
「え？」
「ま、俺には全く関係ないけどな。」
「あっ…あたしにだって関係…ないっ！」
「はぁ？」

　呆れたような顔をしてあっくんがまたあたしを見る。

「あたしが好きなのはあっくんだけだからっ…！達也さんが好きな人いるなら応援はするけど実際あたしには関係ないっ…。」

　じわっと涙が込み上げてくる。余計に頭が痛くなってきた。でも、本当にあたしには関係ない。達也さんが誰を好きでも、あたしが好きな人は変わらない。そんなの分かってくれていると思っていた。
　気持ちを受け取ってもらえることはないかもしれないけど、それでも好きだってことはちゃんと分かってもらえていると…。

「…あたし、今までいっぱい『好き』って言ったのに…。」

　ここで泣くのはずるいということも分かっている。あっくんを困らせてしまうのも明らかだ。でも…悲しい。

「…なんで泣くんだよ、ここで。」
「あっくんが分かってくれないからだもん。」
「…分かった分かった。とりあえず家まで送る。」

　子どもをなだめるように軽く頭をぽんぽんと叩きながら、あっくんはそう呟いた。