「…なんか目覚めた。」

「あたしはとっくに目覚めてるよ!」

「目覚めのキスとか…ちょっといいかもな。」

「な、なに言ってるの!?」

「何って…本音?」

「もー…!そういうこと、さらっといい声で言わないで!」

「いい声なのは元々なんだから仕方ねぇだろ。」

「そ、それも分かってるけどっ…。」


ドクドクとうるさく鳴り続ける心臓に手をあてる。収まれと心の中で願えば願うほどに加速する鼓動にまた頬の熱が上昇していく。


「…つーか、身体大丈夫か?だるいだろ?」

「え…っと…ちょっと痛い…かな。」

「…一応、加減はしたんだけど。」

「っ…えっと、その…は、初めてだから…よく分かんないけど…でも…嬉しかったよ、あたし。
は、恥ずかしくも…あったけどっ…でも…だけど…あっくんが欲しいって思ってくれて、あたしも…あっくんが自分だけのものになってくれたらなって…おこがましいけど思ったりもしてた…から。」


言ってしまってまた頬が熱くなる。頬だけじゃない。身体中が昨日の夜みたいに熱い。


「…初めてが、あっくんで良かったなって…そう思う。
あっくんの近くにこうしていられること、やっぱりすごくすごく嬉しいから。」

「っ…はぁー…お前、俺のなけなしの理性までぶっ壊す気か?」

「へっ?」

「言ってること、いちいち可愛すぎるんだよお前。」

「あ、あっくん!?」


あっくんがベットから身体を起こす。裸を直視できないあたしは顔を思いっきり背けた。


「…着替える。このままごろごろしてたら無理。襲う。」

「襲う!?」

「…だから、それを回避するべくだよ。お前も着替えたら出て来い。メシ食おう。」

「…うん。」


…これは間違いなく、あっくんの優しさ。
あたしはこれ以上ないってくらい本当に大事にされてるんだなって、…こういう時にすごく実感する。
それと同時にちょっとだけ不安になる。あたしはあっくんをちゃんと大事にできてるのかなって。