ラブ☆ヴォイス

「んっ…。」


あっくんの唇だけ、突然違う人になっちゃったみたいだ。
…でも、きっとこれがあっくんの本当で。だとすると、やっぱりあたしはたくさん我慢させてたってことになる。


「あっく…ん…。」

「そういう声で呼ばれても、…普通に止まれねぇから。」

「っ…。」


会話らしい会話になんてなりはしない。
唇は変わらずに交わり続けていて、意識が飛んでしまいそう。
身体の力がふっと抜け、それに気付いたあっくんの腕があたしの背中を支えてくれる。


「…なに、気持ち良かった?」

「なっ…ば、バカ!あっくんのバカっ!」

「バカでいーよ、バカで。とりあえず場所移動。」

「えっ…うわっ!」


膝の下に差しこまれた腕と背中に回った腕、その両方がぐっとあたしの身体を持ち上げる。


「っ…あ、あっくんおろしてっ…重いしっ…あ、歩けますっ!」

「なーにが歩けるだよ!ヘロヘロなくせに。」

「ヘロヘロなんかじゃないっ!」


あたしがそう反論すると、あっくんがちょっとだけ意地悪く笑って、あたしの耳元にそっと唇を寄せた。


「…もっと骨抜きにしてやる。だから無駄に体力使うな。」

「~っ…!」


し、信じられない。…声にならない。恥ずかしすぎて。
囁いたあっくんの声は、あっくんのお仕事用の声じゃないのに、でも、…でも。


「ず、ずるいよ!」

「何がだよ。」

「耳元で言うなんて!」

「欲しいんだからしゃーねぇだろ。むしろ今まで我慢してたことがアホに思えてきた。」

「なっ…!」


完全に強気なあっくんにあたしの方が怯む。でも、…後戻り、できない。