ラブ☆ヴォイス

「え…いいんですか?」
「もちろん。大歓迎!」
「って家主は俺だけど?」
「あっくんがいいなら…お邪魔したいです。」
「だってよー?身体冷やしちゃったお詫びにご招待ってどうよ?」
「…ご招待って俺んちはそんな大層なもんじゃ…。」
「汚いけどいい?ユイちゃん。」
「もちろんですっ!」

 唯の返事は即答だ。

「だってさー。ちゃっちゃと鍵開けてよー御堂。」
「…はぁー…何でこうなるんだよ。」

 そう言いながら、空野の勢いに押されて渋々鍵を開けるあっくん。未知の空間に唯の心臓はこれ以上ないってほどにドキドキしている。心臓がひたすらにうるさい。

「さーどうぞ。」
「…ってお前が言うな。」
「んだよーあっくんたらあったまかたーい!」

 そう言いながらもずかずかと入っていく空野。玄関に入るのさえ躊躇している唯とは大違いだ。そんな唯に気付いたあっくんが唯の方を振り返った。

「…何してんだよお前。」
「え?」
「入っていいっつってんだ。入れ。」
「あ…ホントにいいの?」
「帰りたかったら帰っていいぞ。」
「入りますっ!」
「最初からそう言えよな。素直じゃねぇお前なんて薄気味悪ぃ。」

 薄気味悪いなんてひどすぎるけれど、そんなことよりもあっくんの家にお邪魔できることの方が唯の頭の中を占める。それに、小さく笑ったあっくんの表情にくぎ付けになっていて、そもそも何も考えられない。そんな顔は普段全然見せてくれないため、不意打ちの笑顔は唯の心臓を簡単に壊す。