ラブ☆ヴォイス

唇が離れて目を開けると、あっくんが少しだけ苦しそうな表情をしていた。


「なぁ、…俺のこと、怖いのか、お前。」

「え…?」

「抱きしめた時は平気だったけど、今ほっぺ触ったらびくってしただろ。」

「えっとそれは…。」


違う。怖いとかそういうんじゃない。あっくんは怖くなんかない。


「…結構傷付く。お前に拒絶されんの。」


付き合い始めてから初めて聞く、あっくんの弱音。そして本音。
その言葉が、その声があたしにじんわりとしみてきて、涙が込み上げてくる。
瞬きをすると、ポロリと涙が一筋、ソファーに落ちた。


「え…あ、おい!何で泣くんだよ。別にお前を責めてるわけじゃ…。」

「あ、あっくん、ごめん…ごめんなさいっ…!」


涙と一緒に『ごめんなさい』しか出てこない。だってそれしか言えない。
…あたしが悪い。あっくんにこんなことを言わせて、傷付けて、悲しませて。


「泣き止めって。…おい、まじかよ…号泣じゃねーか。」

「ごめんなさいっ…。」

「謝んな。お前は悪くな…。」

「あたしが悪い!」


あたしはそこまで言い切って顔を上げた。顔が酷いのは分かっているけど、何度もあっくんに酷い顔を晒してきたのだから今更だ。


「あっくんのこと傷っ…傷付けて…か、悲しませて…いっぱい我慢させて…辛い顔もっ…悲しい顔もいっぱいさせてっ…
だからあたしっ…あっくんに嫌われても仕方…な…いっ…。」


仕方ない。あっくんに嫌われちゃうようなことをたくさんしてる。自分勝手にあっくんを振り回してる。


「…待てよ。俺はお前を嫌ってない。
…だからこんなに悩んでるんだろ。」

「え…。」

「とりあえず泣き止め。俺、お前が俺のことで泣くの一番苦手。」

「が、頑張ります。止める…涙…。」

「協力します。」


あっくんの手があたしの右目の涙を拭ってくれた。