ラブ☆ヴォイス

「…あっそ。それ聞いて安心した。ここんとこお前、ずっと緊張してたからな。特に泊まるってなると。」

「え…えっとそれは…。」


あっくんはいつだってお見通しなんだ。そんなこと、ちゃんと分かってる。


「…抱きしめるのは、アウト?セーフ?」


あっくんが切なげな表情を浮かべてあたしにそう言った。その表情に胸がきゅっと苦しくなる。そんな顔させてるのはあたしなのに。


「せ、セーフ、ですっ…。」

「じゃー遠慮なく。」


すっと伸びてきたあっくんの腕。すっぽりと頭が抱え込まれていて、あっくんの香りがぐっと強くなった。後頭部に回った手が優しく髪を撫でる。
あたしはゆっくりあっくんの背中に腕を回した。


「あー…やっぱまずったかも。」

「へ?」

「風呂あがりのお前、まずいんだった。」

「ま、まずいってえ?な、えっと…どういうこと?」


あっくんの身体がゆっくりと離れ、その真っすぐな瞳があたしに突き刺さる。


「…抑えきかなくなるってこと。いー匂いするし、全体的に潤むし。」

「それ、普段カサカサみたいじゃん!」

「そうじゃねーよ。…そうじゃねぇ。」

「あっくん…?」


一度伏せられたあっくんの目がもう一度あたしに向けられた。
あっくんの手がゆっくりと上がって、あたしの頬に触れる。


「っ…。」

「キスまで、とりあえず許して。」


たった一言、あっくんの声が聞こえてすぐに唇が優しく重なった。