『僕の想いは君を苦しめてしまったね。それでも僕は、君を愛せて幸せだったと心から思える。…君に会えて、良かった。君を愛せて、幸せだった。』

 ここで彼は消える。その瞬間に一瞬だけ、彼女に触れて。

「っ…うぅ…。」

 だめだ…何回見ても涙が零れる。あたしが泣いている間に、最後のセリフが流れる。

『君と僕の恋を、ユメコイと名付けよう。きっと誰も知らない、君と僕だけの恋を。』

 涙腺崩壊。…止まんないー…映画館でも止まらなかったけど…。

「うー…っく…うわーん!」
「…ったく泣くなよ。」

 服の袖で軽くあたしの涙を拭い、あたしの背後に回ってあたしをぎゅっと抱きしめる。

「『3ヶ月後。』」
「え…?」
「『やっと君に会えた。』」
「え…あのあっく…?」
「『名前、忘れちゃったのかい?』」

 声は映画そのまま。彼の名前は…

「アキ…?」
『サキ、やっと会えたね。だから今、こうして触れられる。』

 あっくんの手が優しく頬に触れた。