「キス…ホントにしたの…?」
「…怒ってんの?」
「嬉しいけど…、寝てる時って自分じゃ分かんないからちょっと寂しい。」
「寂しい?」

 あたしは頷いた。あっくんの腕が少しだけ強まる。

「…あっくんとのキス…も、こうやって一緒に寝ることもちゃんと覚えていたいもん。あっくんだけして、あたし覚えてないとか…寂しいなって。」

 あっくんとのキスはいつだって幸せな気持ちになる。だから全部、覚えていたい。重ねれば重ねるほど、あっくんを好きになるから。

「…ごめん。お前がんなこと考えてたとか、想像すらしてなかった。」

 そう言って、片方の腕が私の背中から外れる。そしてその手があたしの頬に添えられた。

「お前のそういう感覚、すげー好き。…大事に想われてんだな俺…って実感する。」

 そう言ってとびっきり優しくて甘い表情を向けてくるあっくんに、どきんと強く心臓が鳴った。

「じゃ、もう一回。」
「え…?」

 そっと唇が重なった。そして離れる。瞬きをする間もなく、もう一度唇が唇に触れた。今度は音を立てて、さらにもう一度。