「あああああっくん!?」

 パチっと開いた目にあたしが映っている。それが分かるほどに近い距離。

「キス、してよ?」
「な…起きて…。」
「たけどそれが何か?」
「~っ…!なんで寝てるフリなんか…。」
「寝てたらお前、なんかしてくれるかなーって。」
「なんかって何?」
「キスとか、頭撫でたりとか、ぎゅーとか?」

 …あっくんめ…可愛く言いやがって…。でも、可愛いって思っちゃうあたしの方が重症だし、ビョーキ。

「ししししないよっ!しようと思ってちゃんと止めたもん!」
「ちゃんと止めたってなんだよ。俺は期待したのに。つーか、俺は止められなかったのに。」
「へ?」
「ほら、見てみ?」

 あっくんが指差す先。いつもより一つ多くボタンの外れたパジャマ。そこにはお風呂に入った時にはなかった、一つの印。

「…!これっ…!」
「お前が寄って来てキスしてたら止まんなくなってつい。」
「キス!?」
「おっとやべ、口が滑った。」
「あっくん!」

 起き上ろうとしたあたしの身体をあっくんは離してくれない。