「あ、空野達也!」
「…ん…?」
不意に彼女が玄関までちょっとだけ走ってきた。
まさかのフルネーム呼びで、喉まで笑いが込み上げて来たけどそこはぐっと我慢する。
「どうしたの?」
「あ…えっと…か、風邪ひかないでよね!」
「え?」
「あ、あたしにジャケット貸したから風邪ひいたとか言われても困るしっ!」
「そんなこと言わないって。それよりも亜実ちゃんの方こそ今日は温かくして休みなよ?
怖い思いもしたんだし。俺としてはそっちの方が心配。」
「別に…っ、あんたがいてくれたから、そんな怖くなかった…しっ…。」
段々小さくなったけど、それでも俺の耳には届いた彼女の声。
声にも、その言葉にも、どうしようもないくらい胸が高鳴る。
…この子、無自覚でやってるんだとしたら本当に…
「…あのねぇ、仮にも嫌いな男に向かってそういうこと言うもんじゃないよ。」
「は…?」
「そういうこと言われちゃうとね、俺としてはすっげー嬉しいんだから。
こういうこと、他の男にも言ってんの?だとしたらすげー妬けるんだけど。」
「な、何言って…!」
「またね、亜実ちゃん。」
「またねってもう会うか!」
「なんでさ?俺はまた亜実ちゃんに会いたいからさ。だから『またね』?」
これはとても素直な気持ちだった。
俺はそれだけ言って、ドアを閉めた。
これ以上そばにいるのは、ちょっと危険な気がしたから。
「…ん…?」
不意に彼女が玄関までちょっとだけ走ってきた。
まさかのフルネーム呼びで、喉まで笑いが込み上げて来たけどそこはぐっと我慢する。
「どうしたの?」
「あ…えっと…か、風邪ひかないでよね!」
「え?」
「あ、あたしにジャケット貸したから風邪ひいたとか言われても困るしっ!」
「そんなこと言わないって。それよりも亜実ちゃんの方こそ今日は温かくして休みなよ?
怖い思いもしたんだし。俺としてはそっちの方が心配。」
「別に…っ、あんたがいてくれたから、そんな怖くなかった…しっ…。」
段々小さくなったけど、それでも俺の耳には届いた彼女の声。
声にも、その言葉にも、どうしようもないくらい胸が高鳴る。
…この子、無自覚でやってるんだとしたら本当に…
「…あのねぇ、仮にも嫌いな男に向かってそういうこと言うもんじゃないよ。」
「は…?」
「そういうこと言われちゃうとね、俺としてはすっげー嬉しいんだから。
こういうこと、他の男にも言ってんの?だとしたらすげー妬けるんだけど。」
「な、何言って…!」
「またね、亜実ちゃん。」
「またねってもう会うか!」
「なんでさ?俺はまた亜実ちゃんに会いたいからさ。だから『またね』?」
これはとても素直な気持ちだった。
俺はそれだけ言って、ドアを閉めた。
これ以上そばにいるのは、ちょっと危険な気がしたから。



