ラブ☆ヴォイス

「とっておきたかったのにー!」
「お前な…チョコは食われてなんぼだろうが!俺から貰ったからっつってな、チョコを食わずに崇め奉るなんてお前は怖ぇんだよこのバカ!いいから黙って食っとけ。」
「…もう食べちゃったもん。」
「あのなぁ…この俺に食わせてもらったんだぞ?光栄に思え。」

 そうか。言われてみて、さっきの出来事を思い出せばまさにそうだ。あのあっくんから…

「…そっかぁ…あたし、今あっくんに食べさせてもらっちゃったんだ…。」
「…おい、その辺にしとけよ暴走は。」

 心底嫌そうな顔をしたあっくんが目の前にいる。しかし今の唯は、そんなあっくんの声なんて完全に無視できてしまう。

「きゃーっ!あたし今食べさせてもらっちゃったよー!」
「…お前ってそういう奴だった…。」
「ありがとねあっくん!ホントにありがとうっ!」
「ありがとうの大安売りすんじゃねぇ。」

 ふと、あっくんと目が合った。あっくんの目が、何か言いたそうに見える。

「…あっくん?」
「すっげー酸っぱかったけど、ほんの少しは役に立った、のど飴。」
「ホントっ?」
「二度は言わねぇ。」
「きゃー!嬉しいっ!」
「…いい耳してんな、お前。」
「え?」

 呟くように零れるようにすっと降りてきた言葉が、妙に耳に残る。