「せっかくだから読んで。声に出して。」
「やっ…やだよっ!あっくん、もう読んだんでしょ?」
「読んだけど。だからお前の気持ちがあの日から変わってねぇのか知りたいんじゃん。」
「え…?」
「内容まではっきり覚えてんのか?」
「えっと…大体は。」

 細かい部分は間違っているかもしれないが、大筋は覚えている。

「じゃあ細部まで確認しろ。」
「…自分で読むっ!黙読するっ!」
「お前が黙読してる間、俺が暇だろ?」
「あっくんも一緒に読めばいいじゃん。」
「…ったく素直に『うん』って言わねぇお前が悪いんだからな?」
「え…?」

 くるりと向きを変えられ、後ろからぎゅっと抱きしめられる。背中から伝わるあっくんの熱。おまけに耳元をくすぐる、あっくんの声。

「読まねぇとこのまま色々すんぞ?」
「へっ…?」

 柔らかいあっくんの唇が首筋に触れた。

「ひゃっ…!」
「早く読んだ方がいいんじゃね?読み始めたらやめてやるよ。」

 腕の力は弱まることがなく、あっくんの唇も首筋に戻った。…っ…こ、これはマズい…っ…マズすぎるっ…!

「よ、読むっ!読むからストップ!」
「…なんだよ、弱ぇな。」

 あっくんの唇が、少し拗ねたように言葉を落とした。