ラブ☆ヴォイス

「のど飴、食べてくれたの?」

 恐る恐る、訊いてみた。捨てられていたらさすがの唯でも辛い。

「すっげー酸っぱかったんだけど。何の嫌がらせ?」
「いっ、嫌がらせじゃないもん!あっくんの声がなんだか変だなって思って心配だったから買いに行ったの!」
「あっそ。」

 言葉はいつも通りに冷たいけれど、今日はなんだか違って聞こえる。どこか、温かい響きに聞こえてしまう。唯はもうひと押しすることにした。訊きたかったことを、勇気を出して訊いてみる。

「…これはどういう意味のチョコ…?」
「たとえ酸っぱかろうが、物貰ったんだ。何か返すのが常識だろ?だからお返しだ、お返し。」

 思いもよらぬ角度からの返しに、唯は大きく目を見開いた。…これは単純に、とても嬉しい。

「いっ…いいの!?」
「俺は薄情ではないからな。」
「ありがとうっ!ほんとーにありがとう!」

 どうしよう!あのあっくんからチョコを貰ってしまった!大事すぎて食べれないという緊急事態が発生する。

「…チョコ1粒でそんなに幸せそうな顔できんのって、世界中でお前だけだぞきっと。」

「だってあっくんから貰ったチョコだもん。その辺のチョコとは全然違うよ!すっごい大事!大事にするね!」

 大真面目にそう言ったのに、目の前のあっくんは大きく吹き出した。意味が分からない。

「チョコ大事にするとか意味分かんねっ…あーお前ほんっとバカ。超バカだ!…っくく…あー腹筋痛ぇ…。」
「だっ…だから!あっくんから貰ったチョコだもん。大事だよっ!」
「で、そのチョコどうすんだ?崇め奉るのか?」
「…どうしようか悩んでる。」

 とても真剣に答えたら、また吹き出された。…だから意味分かんないってば。