ラブ☆ヴォイス

「そんなに変だったか?」
「いやー同業者なら多少分かるけどってくらいなもんだけど。
スタッフだって誰も気付いてなかったんじゃねぇの?誰もお前に喉大丈夫とか訊いてなかったし。」
「…そうか。」

 タツにそこまで言われると、逆にどうしたって気付いてしまう。あいつの耳が、確かであるということ。

「ユイちゃん、すごいじゃん。ラジオ聞いて、お前の声の異変に気付いて買ってきたんだろ?…すっげーいい耳だな。」

 言うなよ、と心の中で呟いた。言われてしまえば、もう言い訳も逃げ道もなくなる。認めざるを得なくなる。
 袋の中をまさぐると、もう一つのものに触れた。小さな紙切れに小さな字が書かれている。

「おっ!手紙じゃん。何だって?やっぱ差出人はユイちゃん?」

 明博は紙切れに書かれた字を見つめた。

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ラジオ聞きました。今日もすっごくかっこよかったです!
それで…なんだか声の調子が少し変だなって思って…あ、変ってなんて言うかおかしいって意味じゃなくて、風邪かなぁとかそういう意味の変です!心配になったのでのど飴、どうぞ。体調を崩さないで、お仕事頑張ってください。
             唯
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 女っぽい丸文字に、唯が書く様子まで浮かんでくる。…バカなやつ。だけどそんなにバカじゃないのかとも思う。視線を感じて少し振り向くと、案の定、ニヤニヤ顔のタツがこっちを見ていた。