「唯ちゃんの頭に乗るべき手は俺の手じゃないよね。」
「えっと…それはっ…。」
「御堂の手は特別。唯ちゃんの顔見れば、そんなことよぉーく分かるよ。…前にも言ったと思うけど、俺はさ…本気で唯ちゃんと御堂を応援してるんだ。殻にこもっちゃった御堂を外に引っ張り出せるのは、唯ちゃんだよ。唯ちゃん以外に考えられない。」
「…っ…そんなことっ…!」
「唯ちゃんにとって御堂が特別なように、御堂にとっても唯ちゃんは特別だよ。…とても、ね。」

 今まで見た達也の笑顔の中で一番優しい笑顔。それが今、目の前にある。

「光くんには何て言うの?」
「…それは…。」
「あ、考えてなかった?」
「でっ…でも!大丈夫ですっ!光にはこのまんまちゃんと伝えます。」
「できそう?」
「大丈夫ですっ!任せてください。」
「…そっか。じゃ、行っておいで。」
「はいっ!」

達也の言葉に背中を押され、唯は達也の部屋を後にした。

…残すは光の場所。光に言わなきゃ。ちゃんと、あたしの気持ちを。―――ようやく見つけた答えを。