コンコンッ…


「んー?」
「達也さんっ!」
「あれぇ…唯ちゃん?いきなり元気になってる…。」
「えっと…はいっ!もう大丈夫です!」
「…立ち直りというか元気になるの早いねぇ…ついさっきまですっごいあわあわしてたのに…。」
「なんかもう、一人で悩むのバカみたいだなって。あっくん巻きこんじゃおうって思って。」
「御堂を巻き込む?」
「…はい。」

 唯は笑顔で頷いた。

「…ごめん、意味分かんない。どゆこと?」
「…だって、あっくんはなにも言ってくれてないから…。あたしが頑張って、ちゃんと話聞いて、あたしの気持ちもいっぱい言って、それでもどうしようもなかったら…その時考えます!」
「っ…ははっ…!やばいね唯ちゃん!すっげー笑える…っくく…ははーやばい…ツボった…ひー!」
「ちょっ…そんなに笑わないでくださいよ!これでも一大決心…。」
「でも、唯ちゃんのあわあわも収まったわけだし。俺も心おきなく唯ちゃんに触れるってわけだ?」
「へっ?」

 達也の手が、ゆっくりと唯の方に伸びてくる。そしてそのまま、唯の頭の上にポンと乗っかった。

「…その顔。」
「え…?」
「無言のうちに、〝俺じゃない〟って言ってるよね。」

 ちょっとだけ笑いながら、達也がそう言った。