ラブ☆ヴォイス

「まったく…あの男は。掴みどころないんだから。」
「達也さんは…優しいよ?」
「優しいのは時に罪よ。ていうか、空野達也はどうでもいいから、唯は御堂明博のことをちゃんと考えなさい。その上で光のことを…」
「…俺がなんだよ?」
「光っ!」

 まだ会いたくはない顔だった。

「あら、いたの?」
「いちゃ悪ぃのかよ?」
「…今は唯に近付かないでよ?混乱してるんだから。」
「混乱?」
「あんたが混乱させたんでしょ?」
「…別に俺は後悔してない。唯の答え、待つよ。」

 光の手が、くしゃっとあたしの頭を軽く撫でた。たったそれだけで、びくっと竦む身体。

「…っ…ごめ…。」
「…いいよ。」

 少しだけ傷付いた顔をして、自分に背中を向ける光を見て、胸がきゅっと締めつけられる。…苦しい。光ともあっくんとも〝今まで通り〟でいられない自分が。

「…あたし、やっぱり部屋戻るっ。」
「あ、唯っ!」

 華が呼びとめてくれる声を無視して、唯はそのまま部屋へと向かった。ベッドに飛び込んで、枕に顔を埋める。