自分の好きなレモン味ののど飴を握りしめて、部屋に戻る。ラジオはリスナーからのお便りコーナーに移っていた。


『「御堂さん、空野さん、こんばんは。」』
『こんばんはーありがとうございます。』
『「ハニメロのアニメ、すっごく楽しみです。原作ファンでいつかアニメ化したら先生役を御堂さんがやってくださったら…なんて考えてたんですが、それが実現してすごく嬉しいです。空野さんが大樹っていうのもすっごく楽しみです。二人とも、ぜひ頑張ってください。」
…とまぁこんな感じのハニメロ激励系のメールがどっさりです!』

 自分と同じ意見の人がたくさんいることが何だか嬉しい。

『ありがたいな。つーかハニメロの人気、痛感する。』
『あ、俺さー最近読み始めたわけ。ハニメロ。』
『タツ、今度貸して。』
『買えよ。』
『今あんまりゆとりが…。』
『あーお前引っ越したもんな。』
『…っ…お前その話はすんなっつっただろ!』
「引越しの話きたっ!」

 ラジオをぐいっと引き寄せた。って待ってよ。何であっくん、そんな嫌そうなの?

『なんでだよーリスナーの皆様にはこういう俺らの素の話届けた方が面白いじゃん。
つーわけで来週のために今日この収録終わったらお前んち行く。』
『やめろバカ!』

 あっくんの声が必死だ。…そこまで来てほしくない理由も、多分ないはずなのに。