「…っ…！」
「唯…？」
「唯ちゃん、大丈夫？」

　あの人だ…。祥、さん。それと…萱原さん。目が外せなくて、だからこそ向こうも気付いた。先に目が合ったのは祥で、祥は一瞬目が合うと申し訳なさそうに目線をパッと逸らした。
　それに気付いた萱原が唯に目を向ける。そして少し微笑んだまま、ゆっくりと近付いてきた。

「…君、御堂の彼女だよね？」
「…ちっ…違います。彼女じゃありません。」
「別にいいよ、照れなくても。」
「照れてませんっ…！」
「ふぅん…御堂も趣味変わったのかな、君みたいな子をそばに置いておくなんて。」
「あの、どこの誰かは存じませんけど、その言い草、すっごい失礼じゃありません？この彼女もどうしてこういう発言、黙って見逃してるわけ？」

　鋭い声が飛んできた。この声はもちろん華のもの。

「華っ！」
「随分勇ましい女の子だなぁー…。俺は御堂の同業者で、御堂の元カノの現在の彼氏だよ。」
「え…？」

　同業者？ということは声優さん…？それに、なに…？〝元カノ〟？祥さん…が…？