「唯ちゃんは、コドモっぽいところもいっぱいあるけど、御堂のことは本当によく見てるよ。だって前のラジオで喉の異変にもすぐ気付いたじゃん。それに御堂の言葉を本当に大切に受け取る。どんなにそっけない言葉でも、唯ちゃんにとってはすごく大切だから。」
「……。」

　不意に蘇るのは、唯の笑った顔だった。本当に安い女なんだ、彼女は。
　ちょっとしたこと、たとえば名前を呼ばれたとか、ちょっと手が触れたとか、本当に些細なことでぱあっと顔が明るくなる。すごくいい表情で、当たり前みたいに笑うんだ。

「お前が唯ちゃんを遠ざける理由ってさ、すっげーくだんねぇってこと、分かってくれた？」
「…そうかもな、見た目なんてくだんねぇ。」
「お、素直になってきた！」
「うるせぇ。」
「あーダメだこりゃ。すーぐそれだもんなぁー…俺がこんなに心配してやってるのに…。」
「心配なんてもんはしてやってるとは言わねぇんだよ。したくてするもんだ。」
「うわー…こういうとこだけ減らず口だから困るよなー…。」
「タツの分際で俺をからかおうとか100万年早いわ。」
「100万年も生きねぇよ俺。」
「いや、お前なら行くんじゃね？俺は死ぬけど。」
「俺だって死ぬよ。だから死ぬ時にはさ、一番好きな人を想っていたいじゃん。一番好きな人のそばにいたくない？だから御堂に諦めてほしくないんだ、誰かを好きになることを。」

軽かった口調がいきなり重くなる。その目はとても真剣だ。