ラブ☆ヴォイス

「手、触ったんだもん。」
「はぁ?」

 心底呆れた顔をしてあっくんが唯を見た。

「今…、あっくんの手…あたしの手に…触った!」
「触ったってお前なぁ…。ほんの少しで何そんなに顔赤くしてんだよ。」
「ほんの少しでもあっくんの手が触れたんだもん!」
「…あのなぁ…普通そんなことでそんなに顔赤くしたりしねぇっつの。」
「だってだって!あっくんの手だよ?」
「…お前、ホントに…。」

 あっくんが落ちたパスタの袋を拾い上げる。そして唯の目の前に立った。

「安上がりな女だよな。じゃ、頑張れよ。」

 パスタの袋を唯の手に乗せ、あっくんの手が唯の頭に触れる。そしてそのまま軽く撫でられた。
 うー…悔しい。やっぱりあっくんは本当ににずるいんだ。これでもかというくらいに唯のことをドキドキさせるくせに、全然唯でドキドキはしてくれなくて。唯ばかりがいつもドキドキして、どうしていいか分かんなくなっている。