でも…ここに先生を置いていかれちゃ、あたしの力では部屋まで運ぶことすらできない。

だから、真さん…を引き留めた。

「え…何?」

『部屋まで運んでもらえますか?』

あたしはかなりゆっくり話した。

「え?ごめん。読み取れないかも。
もう1回言ってくれる?」

『へ・や・ま・で』

「部屋…まで…?」

『は・こ・ん・で』

「はこんて…じゃなくて運んで!!
ああ、部屋まで運べってか!!
了解了解!!」

そう言って先生をソファーに寝かせてくれた。

あたしはテーブルの上にあったペンとメモを掴んで
『ありがとう。』
そう書いて渡した。

それを見て彼は

「いえいえ。どういたしまして。」

にっこり笑ってそう言った。
そんなに悪い人じゃないみたい。


「んじゃ、後頼むね。
なんかあったら連絡して。
あいつのケータイに俺の番号入ってると思うし。
俺、小宮っていう名字だから。」

あたしはまた頷いた。