当然のことながら、彼女は体を強張らせた。


「落としたりなんかしないから、もう少し体重預けてくれてもいいんだけど?」

『離して。』

俺の目を見つめてそう言う。
だけど俺はその言葉を無視して、続けた。


「なんか微妙に熱くないか?
また熱上がってきたかもしんねぇから、体温計で測れ。」

『大丈夫。』

「お前の大丈夫は当てになんないからな。
おとなしく寝てろ。後は俺がやるから。」

彼女をソファーに下ろし、体温計を渡す。

そして俺は流し台に向かう。

まったくあいつは…
無茶ばっかりする。
せっかく下がった熱もまた上げて、挙句の果てに『大丈夫』で済まそうとする。

危なっかしくて放っておけない。

そして気付く。

俺の頭は彼女でいっぱいだった、と。