【Satoshi side】


俺の胸の中で彼女の体の力がゆっくりと抜けていくのを感じる。

そして彼女の言葉が頭の中を駆け巡る。


「え…?」

「もう言いたくない…」

「『好き』って聞こえたの空耳じゃないよな?」

「なんでそうやって…掘り返すの…?」


彼女は瞳を少し潤ませながらそう言った。
頬が少し赤くていつもに増して可愛い。

だからたまらなくなって俺は力いっぱい彼女を抱きしめた。



「夢じゃないよな。」


気付くとそう呟いていた。


「夢…なんかじゃないよ。」

俺の耳元でそっと囁く。

俺の腕から解放すると、照れながらも優しく微笑んでいる彼女がいた。